まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 よいしょ、とナビーシャの背中に乗り、東を目指して飛び立つ。もうすぐ、夜が明ける。早く行動した方がいい。
 東の空が、白く明るくなり始めてきた。頬を冷たい風が通り過ぎていく。
 テティウスは、ナビーシャの背中から、白々と夜が明けていく様を眺めていた。ナビーシャが全力で飛んで、一時間ほどだろうか。
 元の位置からは、前世の単位で百キロ近く離れた山の中。この山は、元々ドラゴンの住処だったそうだ。
 なんらかの事情でドラゴンはこの場を離れたらしいけれど、まだ、元ドラゴンの縄張りに他の魔物は入ってきていない。
 ぐるりと森に囲まれているから、肉食の魔物は獲物を探すこともできるだろう。

「うん、ここならよさそう。じゃあ、まもにょたちのまってるばしょにてんいー!」

 来る時は一時間かかったけれど、戻る時は一瞬だ。
 いきなり空中に姿を見せたテティウスに、魔物達は驚いた様子だった。

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