まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 この場合、「人」でいいのかなと思いつつ他に適切な単語も思いつかなかったのでそのまま使ってしまう。
 テティウスの前に座ったフェンリルは、ゆるゆると頭を下げて、伏せの体勢になった。

「なにー? なででもいいの?」
「撫でたければ、撫でればよい」
「わーい。ここはあまりえものがいないからたいへんかもしれないけど、みんなならだいじょうぶだよ、きっと。ナビ子しゃん、えものはどっちにいけばいる?」
「麓の森にはいるわよ。ドラゴンがいなくなって、ずいぶん数が増えているわ。しばらくの間は、大丈夫だと思う」

 フェンリルの毛並みは、見た時にはふわふわしていると思ったけれど、実際に触れてみたら意外とごわごわとしていた。

(……ふわふわかと思ってたのに)

『水浴びして、櫛を通せばふわふわになるかもしれんな』

(わ、聞こえてた?)

『もちろん、我を誰だと思っている? 魔物の長、フェンリルだぞ』

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