まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
(そうかあ。もうちょっとふわふわかと思っていたんだ)

『アンタねえ、森の獣が艶々フワフワのわけがないでしょうが。ふわふわを堪能したいならアタシにしておきなさい』

(ナビ子さんは、いっつも撫でてるでしょー? 艶々のフワフワで素敵だけれど!)

『このわがまま坊主!』

 心話だけでやりとりしていたら、すぐ横でフェンリルがぶっと吹き出した。
 フェンリルもそんな笑い方をするのかと一瞬驚くが、まあ笑う時には笑うのだろう。

「すまんな、そなた達のやりとりがあまりにも面白くて」
「いーよ、ぼくとナビ子しゃんのはなしがきこえるひともあまりいないしね」
「そなたは、たしかに魂はもうちょっと上なのだな」
「いまのじんせいもきにいってるけどねぇ」

 前世のことはまだ思い出すし、郷愁にかられることもある。でも、今の家族に愛されていることもちゃんとわかっているから大丈夫なのだ。
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