まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスを見ていたフェンリルは、頭を擦り寄せてきた。

「今回は、そなたの世話になってしまった。もし、我の力が必要になった時にはすぐ呼べ。この大陸のどこからでもかけつけようぞ」
「ありがとー」

 ふわっとあくびが出る。そうだ、こんな夜遅くに外を出歩くことなんてないのだった。というか、ほぼ一晩徹夜である。
 眠い。上の瞼と下の瞼がくっついてしまいそうだ。

「ナビ子しゃん」
「何?」
「グルバウトおうこくのおうさまにもおかえしはしないと」
「毎晩オオカミの魔物に頭から食われる夢を見せてやりましょう。特別サービスで、痛みを感じるようにしておくのはどう?」
「それはいいねぇ……」

 子供って、電池が切れたように寝るというのは誰が言っていたのだろうか。こちらの世界に電池はないからたぶん前世の誰かだと思うけれど。
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