まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 この世界のカイロとは魔道具のことをさす。じんわりと暖かくなるよう調整した魔石を、適温に保ってくれる魔道具に入れたものがカイロだ。
 魔道具としては簡単な部類に入るらしく、大人の監視のもとであれば、双子だけで作ることができるという。

「兄様達には去年あげた」
「テティの分ができたら、外に遊びに行きましょう」
「えー、ナビ子しゃん。ナビ子しゃんはいく?」

 聞いてみたけれど、ナビーシャは興味なさそうに尾をぱたぱたとさせただけ。ちゃんと話すことができるくせに、今だけ普通の翼猫みたいにふるまっている。

「ナビ子しゃん……」
「アタシは行かないわよ? 身体が冷たくなるのは嫌だもの」
「まじゅじゅでなんとかなるでしょう。いま、なんとかしてるのぼくしってるんだからね」

 外に一人だけ連れ出されるのは嫌だと思っての誘いだったけれど、ナビーシャはつれなかった。

「できるけど嫌」

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