まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ゼフ兄様、明日には元気になる?」
「ええ、大丈夫だと思うわ。お医者様にも診てもらっているし」

 ヘスティアの言葉にこたえている母の顔を見たら、ちょっと曇っていた。もしかしたら、何か気になることがあるのかもしれない。
 グルバルト王国との事後交渉が終わっていないため、父はまだ王宮には戻ってきていない。
 父が留守にしている間、代理を頼まれたゼファルスが寝込んだとなると次に仕事が回ってくるのはアクィラである。

「母上。俺、兄上の代理が務まるかな……?」
「公務は最小限に減らしておくから安心なさい」

 食事をしながらも、アクィラは少し不安そうな顔になった。
 まだ、人前に出ての公務というのは、アクィラは未経験なのだ。割と無鉄砲なところがある彼でも、初めての仕事は不安になるものらしい。

「アキにいさまなら、だいじょーぶ。ぼく、しってる」
「そうか? テティが言うなら、ちょっと頑張るよ」
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