まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ちょっとじゃなくて、いっぱいがんばれ」

 テティウスの言葉に、アクィラは頭をかいた。それを見ていた他の人達がくすくすと笑う。
 二人欠けてはいるけれど、それでも、シルヴァリウス家は平和だった。

 翌朝。

「アキにいさまもねこんだ……!」

 まさか、ゼファルスだけではなく、アクィラまで寝込むことになるとは。アクィラが発熱して寝込むなんてテティウスが知る限りでは初めてだ。

「かあさま、かいふくまじゅちゅをつかいますか」
「……回復魔術を使える人は、今、王宮にいないのよ」
「なんでー?」

 なんでも、下町の方でも風邪が流行り始めているらしい。そのため、王宮に勤務している魔術師の中で回復魔術を使える者は、皆、町に出て、必要な人を手当しているそうだ。
 急な高熱、関節の痛み、咳。

(それって、ただの風邪じゃないのかも?)

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