まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 この世界に『インフルエンザ』が存在するかどうかは知らないが、前世でも検査をするまではただの風邪と区別がつかない病気は存在した。こちらの世界では検査するような技術は発展していないけれど、同じような病気がある可能性は否定できない。

「かあさま、ぼく、かいふくまじゅちゅつかえる。にいさまたちにかけちゃだめ?」

 母の膝に掴まってたずねたら、母はうーんと唸ってしまった。子供のテティウスを、患者のいる部屋に行かせるのは気が進まないらしい。
 たしかにテティウスが感染したら、兄達より重症になる可能性は高い。身体が小さい分、抵抗力がないように思われても当然だ。

「ナビ子しゃーん」

 困った時の、ナビーシャ頼みである。テティウスに呼ばれたナビーシャは、ゆらゆらと尾を揺らしながらこちらにやってきた。

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