まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 こちらの世界の薬は、薬草を煎じたものが大半だ。錬金術師の中には、薬効成分だけを抜き出した特殊な薬を作る者もいるけれど、その数はそう多くない。
 冒険者達が持っている回復薬などは、特別なものなのだ。
 兄の側により、額に手をあててみるとじんわりと汗ばんでいる。というか、高熱である。
 手で触れた感じだと、四十度近いのではないだろうか。

「ナビ子しゃん、はなしをして」

 ここは自分の口で話すよりも、ナビーシャにお願いした方が速い。王宮で働いている者がすべて、テティウスの言葉を完璧に聞き取れるとは限らないのだ。

「まず、この部屋は乾燥しすぎね。部屋に濡らした布をかける……いえ、それじゃ追いつかないわね。室内で、湯を沸かし続けてちょうだい」
「すぐに湯を沸かす準備をいたします」

 側にいたメイドに命じれば、すぐに姿を消した。
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