まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 風邪をひきやすくなるのは、身体が疲れている証拠でもある。父が留守にしている間、ずっと気を張っていたのかもしれない。
 身体の回復力を弱体化させないよう、熱は下げるが、平熱までは戻さないし、体力を強引に回復させることもしない。
少し、ゆっくり休む時間をとったと思えばいい。まだ、ゼファルスだって、成人に達していない子供なのだ。

「にいさま、おきたらよろしくね」
「はい、テティウス殿下」

 あとは、医師の仕事だ。
 テティウスは、アクィラの部屋に赴くと、同じように処置を施す。こちらの部屋も乾燥していた。
 部屋の温度湿度を適度に保ち、ある程度回復させたら、あとは身体の治癒力に任せる。
 王宮で働いている使用人達の間でも病は流行り始めていたから、予防のためにうがい手洗いをしっかりすることも、合わせて通達してもらった。

 幸いなことに、姉二人は病には感染しなかった。
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