まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
『アンタの回復魔術なら、回復薬と同等の効果をもつようになると思うけど』

(……作っちゃダメかな?)

 薬師達の仕事を奪うつもりはない。せめて、熱が下がって、喉の痛みや咳が少しでも楽になったなら。
『特に今年の病は質(たち)が悪いのよね。死亡者が出てもおかしくはない……大きな被害が出るでしょうね』

 それは駄目だ。

「ゼフにいさま。ぼく、かいふくまじゅつつかう」
「だめだ。テティを患者のところに連れていくわけにいかないと前から話をしているよね? 本当は、僕やアクィラのところにも来たら行けなかったんだよ」
「みじゅに、かいふくまじゅつかける。それをくばる」

 テティウスの言葉に、ゼファルスは思案の表情になった。
 彼自身感染したから、どれだけつらいのか身をもって経験済み。それが、少しでも楽になるのなら。

「テティが無理をしないのなら……って、無理っぽいけど」
「むりちない」
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