まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスの提出した計画書に目を落とし、母はつぶやいた。彼女の目は真剣なものになっていて、何度も書類を見直している。

「母上、テティがやりたいというのならやらせてみてはどうでしょうか?」
「俺思うんだけど、やるなって言ったら、勝手に出ていきそうな気もするんだ。それって、あまりよくないだろ?」

 ゼファルスの援護射撃にはにっこりとしたテティウスだったけれど、アクィラの言葉にはしかめっ面になった。父と約束したから、勝手に出ていくつもりはないのに。
『本当に?』

 肩の上に乗ったナビーシャがにゃあと鳴く。

(う、それはどう……か、な……)

 言われてみたら、自信がなくなってしまった。父との約束は守りたいけれど、困っている子供達を見捨てることはきっとテティウスにはできない。

「テティウス、あなたはどうしたいの?」

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