まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスの腰のあたりまで埋まってしまいそうだ。白くてふわふわとした雪。
 交通網の麻痺なんて考えなくていいからこそ、雪が降っただけでうきうきそわそわしてしまう。

(食べたらおいしそう……)

『雪には空中のゴミがいっぱいついてるから、綺麗に見えてもやめておいた方がいいわよ』

(おいしそうって思っただけだって!)

 実際に食べようと思ってはいない――いや、ちょっとは思った。カキ氷用のシロップなら、厨房にお願いすればいくらでも手に入る。
 それはともかくとして、外に出てきたら、やることは一つである。雪玉を手に取り、ころころと転がしてみる。
 周りの雪を巻き込みながらどんどん大きくなっていった雪玉は、すぐに転がすのが難しいほどに成長した。

「よいしょ、よいしょ」

 力を入れて押す。同じ方向にばかり転がさず、まんべんなく雪を巻きつけて大きくなるように。

「……できた」

< 275 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop