まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「……むぅむぅむぅ」
「ま、人に頼ることができるってのも大事だからな」

 それはそうなのだが、アクィラに言われるまで自分にできることを忘れていたというのが面白くない。
 むぅむぅと唸りながらテティウスは、まだ誰も手を付けていない方向に向き直った。真っ白で踏み荒らされていない雪が広がっている。

(……これだけあれば、『あれ』が作れるよな……)

 こんなに大量の雪があるのなら、かまくらを作ることができるではないか。前世では一度も経験したことがなかったけれど、これだけあれば問題ない。

「じゃあ、こんどはまじゅつつかう!」

 頭の中に思い描く術式。

(雪を集めて、固めて……)

 どうせなら、皆で入ることのできる大きさがいい。
 雪を集めて、ぎゅぎゅっと固めていく。日本では固めてから中を掘っていったけれど、ここではテティウスの思い描く魔術の通りになる。

< 278 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop