まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ちょっと待ってろと言い残したアクィラは、ぱっと走り出していった。
 戻ってきた時には、野営用のコンロとマシュマロを抱えていて、一緒にゼファルスもついてきていた。

「へえ、これテティが作ったの? この中でマシュマロ焼くんだって?」
「ゼフにいさまもはいる?」
「入れてくれる? 僕はこれ持ってきたから」

 ゼファルスが取り出したのは、クッキーの袋である。
 外でのおやつ。雪の中で食べるというのは初めての経験だ。

「おー、ひんやり」

 中に入って見ると、思っていたより暖かかった。風を遮ってくれるからだろう。だが、周囲はひんやりとしている。
 そういえば、前世では氷で作ったホテルなんていうのもあったっけ。あれ、氷の中で寝るって寒くなかったんだろうか。
 なんて思いながら、兄二人がおやつの準備をするのを眺めていた。
 アクィラの手際は意外とよく、マシュマロを串に刺していく。
< 280 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop