まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 それはそれで少し寂しいような気もするけれど――彼女とは友達だから、今度会った時にいっぱいおしゃべりすればいいか。

「殿下、国王陛下がお呼びでございます」
「とうさまが?」

 ぱっと時計を見上げる。まだ、朝食を終えて一時間とたっていない。
 父は仕事をしている最中で、この時間帯にテティウスに声がかかるのは珍しい。
 いったい、何があったというのだろう。

「とうさまのようじはなにかしってる?」
「いいえ。殿下、どうなさいますか?」
「すぐにいく」

 いつもはテティウスを呼ばない時間帯に、呼び出してくるのだ。きっと何かあるのだろう。兄達が呼ばれていないこともその判断に拍車をかけていた。
 呼び出されたのは、父の執務室。テティウスがここに足を運ぶことはめったにない。事件の気配をかぎつけたナビーシャも、テティウスの肩に飛び乗ってついてきた。

「とうさま、ぼくをおよびでしょうか?」
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