まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「まあ、そこに座りなさい。ナビ子さんも、クッキーはどうかな?」
「いただくわ」

 執務室には、豪華なソファセットも置かれていた。磨き抜かれた年代物のテーブルに、銀のティーセットが並べられる。
 テーブルの上に乗ったナビーシャは、出されたクッキーに遠慮なく齧りついた。尾がピンと立っている。
 テティウスも手を伸ばす。チョコチップが入っていて、甘い。

「ここに来てもらったのはだな、テティの力を貸してほしいからなんだ」
「いいよ。ぼくになにができますか?」
「スピラー伯爵令嬢を覚えているな?」
「イヴちゃん。おてがみくれます。ぼくもおへんじをかく、ぶんつうともだち」

 ちょっと手紙の感覚が空いているのが気にならないと言えば嘘になるが、イヴェリアとは仲のいい友達だ――というか、テティウスの方はそう思っている。

「そうだ。彼女の父であるスピラー伯爵から、テティに助けを求める手紙が届いた」
< 286 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop