まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ぼくに?」

 イヴェリアとは仲良くなっているが、伯爵とは個人的な接点はない。
 せいぜい「友達のパパさん」程度の認識であって、顔を合わせれば挨拶ぐらいはするが、屋敷に宿泊させてもらってからは個人的なやり取りもしていない。
 テティウスを名指しで助けを求めてくるという理由に、心当たりなんてなかった。

「イヴェリア嬢が倒れた」
「……え?」

 手に持っていたクッキーがぽろりと落ちた。テーブルの上だからセーフということにしておこう。

「イヴちゃん……イヴェリアじょうがたおれた?」
「そうだ。しかも、原因不明――神殿に調べてもらったところ、呪われている可能性が高いという結果が出たらしい」

 テーブルから取りあげたばかりのクッキーが、もう一度転がり落ちた。
 なんで、イヴェリアが呪われているという話になるのだ。テティウスがじっと父を見ていると、彼はため息をついた。

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