まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「うん。イヴちゃんはたいせつなともだちだから。ぼく、おへやにはいってもいい?」

 女性の部屋に入るのは、本来マナー違反なのでちゃんと伯爵に確認する。

「はい。どうか診てやってくださいませ」

 藁(わら)にもすがる思いでテティウスを呼んだのだろう。伯爵は、真っ先にテティウスをイヴェリアの部屋に案内してくれた。

「イヴちゃん……」

 テティウスの背後から、ゆったりとした足取りでナビーシャがついてくる。
 苦し気に眉を寄せて目を閉じ、微動だにしない彼女の様子は、生きているのかどうか心配になってしまうほどだった。

(……呪いだ)

 イヴェリアの身体の周囲を、真っ黒なものが取り囲んでいる。

(……こんな小さな子を……!)

 テティウスの胸に芽生えたのは、イヴェリアをこんな目に合わせた相手への怒りだった。
 何が理由で、こんな幼い子を呪うのだろう。

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