まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 だんだんと、返す呪いの内容が『怖い』ものから『地味につらい』ものへと変化し始めてきた。『食事のスープが毎回ぬるい』だの『買い物の度に小銭をぶちまけてしまう』だの何を考えているのか自分達でもわからないようなものまで追加する。

「じゃあ、のろいはのろったひとのところへかーえーれー!」

 ナビーシャの助けを得て、呪いの塊を外へと放り出す。あとは、書き込んだ魔術式がいい仕事をしてくれるだろう。
 呪いを飛ばすのと同時に、せわしない呼吸を繰り返していたイヴェリアが目を開いた。側にテティウスがいるのに気づいて、見開いた目が大きく丸くなる。

「……テティ殿下?」
「うん、ぼくきたよ。イヴちゃん、よくがんばったねぇ……えらいえらい」
「……うん」

 きゅっとイヴェリアの手を握ったら、きゅっと握り返される。彼女の命を救えたことに安堵した。

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