まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 眠ることができていないのか、男の顔には疲れがにじんでいた。靴は脱ぎ捨てられていて、しきりに片方の足でもう片方の足の裏をかいている。

「……おじさん、あし、かゆい?」
「痒いさ。だからどうした?」

 なぜ、こんなところに子供がいるのだろうと男も思ったのだろう。テティウスを見たとたん、顔をしかめたけれど、テティウスの言葉には素直に返してきた。

「ぼく、それをとめてあげられるよ」
「なんだと?」
「だって、おじさんにのろいをかえしたのぼくだもの」

 驚愕に目を見開いた男に対し、言葉を重ねてやれば、男はテティウス達と彼を隔てている鉄格子をがしっと掴んだ。がたがたと揺さぶりながら吠えたてる。

「嘘だ! 俺の呪いが、こんな子供に跳ね返されるはずはない!」
「んーん、ぼく。ぼくがやったの――ナビ子しゃんのちからをかりてね」
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