まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスが解いたのは、足の裏が常に痒くなるという呪いだけだ。毎回深爪するとか、しょっちゅう角に足をぶつけるとかの呪いはそのままだ。

「それ、ぼくがといたの。ぜんぶはなしてくれたら、おじさんにはねかえされたのろいはじょうかしてあげる。あとのことはとうさまとそうだんして」
「……俺はどうなる?」

 足の裏の痒みがおさまったことで、男はテティウスの言葉を信じてもいいという気になったらしかった。父は男を睨みつけ、新たな問いを重ねた。

「余罪は?」
「……殺そうとしたのは初めてだ。それ以外の呪いなら何度も引き受けた――怪我をさせたり、病気にさせたり」

 男の言葉に、父はうぅんと唸った。男の処遇をどうしたものか、父もこの場では判断しかねるようだ。

「……ぼく、おじさんをころしたいっておもってますよ?」

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