まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「誰が吐くか!」
「ぼくは、おじさんがはかなくてもいいんです。まじゅつでじょうほうをぬきだすことはできるからね。でも、それだとすっごくいたいし、とうさまはおじさんをしけいにするとおもうの」

 本来、貴族を殺せば死刑だ。イヴェリアの場合、実際に手を下したのではなく未遂だがそれでも死刑にはなるだろう。

「どうする? ぼくはどっちでもいいの。でも、はなしてくれたら、おじさんにわるいようにはしません」
「い、いててててっ!」
「これ、ぼくのまじゅちゅね」

 牢の鉄格子越しに、男の脳に魔力を伸ばす。
 頭の中に思い描くのは、男の心から直接情報を抜き出す魔術式。本来、そこまで痛くはないのだけれど、そこにあえて痛みを感じさせるような魔術式を追加してみた。

「わ、わかった――話す。全部話す!」

 それから男が口にしたのは、ある貴族の名前だった。テティウスと同じ年頃の娘がいるらしい。
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