まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ

 イヴェリアを呪った人物が、捕らえられてから一週間後のこと。呪いの術者は、悪事を犯した者が強制労働させられる場に移動になったそうだ。
 王宮の奥にある魔術を扱える者だけが収監される牢。そこで、魔石に魔力を注ぐ作業を延々と行うことになっている。
 命じた貴族の方もまた、王宮へと呼び出されているそうだ。彼は爵位を剥奪された上で、追放刑になるだろうというのがナビーシャの予想。

(……落ち着くべきところに落ち着いたんだろうな)

 あれからイヴェリアからは、新たな手紙が二通届き、テティウスはどちらにも返事を書いた。
 ナビーシャと一緒に、どんなレターセットを使おうかと選ぶのも最近の楽しみだ。

「りゅーせーのついせきしゃのみんな、げんきかなぁ……」

 兄達が剣術の稽古をしているのを眺めながら、テティウスはつぶやいた。ようやく、日常が戻ってきたような気がする。

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