まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「元気にしてるんじゃないの? 知らないけど」

 テティウスは、視線を膝にいるナビーシャに落とす。
 柔らかな身体は、テティウスの膝の上で自在に形を変えている。満足するまで顔を洗い終えたのが、今度はぐいーんと伸びた。

「どうした? 元気ないな」

 部屋にやってきたアクィラが、元気のないテティウスの様子に気づいたようだった。

「アキにいさま。りゅーせーのついせきしゃのひとたち、さいきんこないなって」
「あー、冒険者だもんな。依頼が立て込んでいて忙しいんだろ」
「おーきゅーにきて、ぼくとおはなしをするいらいをだしましょか……」

 よく考えたら、王宮に呼び出されていては、彼らの貴重な労働時間を奪うことになってしまう。きちんと依頼という形で呼び出して、冒険譚を聞かせてもらうべきではなかっただろうか。
 今まで、彼らに甘えすぎていた――と考えていたら、こつんと額を弾かれた。

< 318 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop