まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「お父様とお母様に聞いてみましょう。テティ、ナビ子さん、一緒に来て」

 また双子に引きずられるようにして、父の執務室へと連れていかれた。廊下を進む双子の足取りはいつになく荒い。走り出すぎりぎり少し手前と言った様子だ。

「父様、入ってもいい?」

 執務室の前で息を調えると、ヘスティアが手を伸ばして扉を叩いた。

「父様。兄様達は騎士達と一緒に行ってしまいました。ヘスは、じゃなかったヘスティアは工房で回復薬づくりを、私はヘスティアの手伝いをします。いいですか?」
「あ、あぁ……頼む」

 今回が緊急事態だということだろうか。
 父に許可を求めるユスティナの口調は、いつになく険しいものだった。ヘスティアのことも、愛称ではなく正式な名で呼んでいる。
 これが、王族の気概というものか。
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