まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスは、前世の記憶がある分、彼女達よりは大人な思考をしている自覚はあるが、ヘスティアもユスティナもまだ九歳。その彼女達が、こんなにも立派に父と対話している。
 その光景に、胸が熱くなってきた。王家の者は、民のために存在する。
 今、テティウスができることと言えば。

「とうさま、ぼくもいきます。げんばで、かいふくまじゅちゅをつかう」
「――だが」
「王様、テティにやらせてやってくれないかしら。テティなら、ちゃんとやるわ。失敗はしない」
「それもわかってはいるが」
「おねがいします。ぼくもおうぞくだもの」
「……そうだな。だが、危ないことはしないと約束してほしい」

 父の言葉に、テティウスはうなずいた。前世がどうであれ、今のテティウスは無力な子供だ。無理なことはしてはいけない。

「アンタの魔力は温存。アタシに乗って! 周囲の状況を確認したいから、転移じゃなくて空から行くわ」
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