まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「あいっ!」

 父の仕事机の前で、ナビーシャは身体を大きくした。テティウスが背中によじ登ると、双子が窓を大きくあけ放ってくれる。

「いってきましゅっ!」

 窓から飛び出し、見下ろせば、街の人達が避難の準備を始めているのが見えた。
 今のところ、迷宮から魔物が溢れてきているわけではないが、王都に近い位置にある迷宮だから、こういう時の対応策は以前から周知されている。
 道を行けばけっこうな時間がかかるが、ナビーシャのおかげであっという間に迷宮の入口に到着した。
 少し開けたその場所は、たくさんの人がいた。
 傷の手当を受けている者、中から怪我人に肩を貸して出てくる者。騎士達もまた、突入の準備を始めていた。

(……嘘でしょ!)

 よく知っている冒険者が、仲間の肩を借りてよろよろと歩いてくるのが見えた。

「――レナータ!」

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