まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ぼうけんしゃのひとたち、けがにんをあつめて! ぼくがまとめてちりょうする!」

 誰も、死なせやしない。そんなことはさせない。そのためにテティウスはここにいるのだから。

(神様、僕をこの世界に送ってくれた女神様……どうか、僕に力を貸してください)

 今のテティウスは、今の家族を愛している。この国に生きている人達のことを愛している。この国を愛している。
 女神は言った。
 なんのしがらみもない人生。テティウスは、好きなことだけして生きていけばいい。
 ――それなら。
 祈りを捧げると、ぱぁっとまばゆい光があたりを照らした。
 テティウスの身体から、一気に魔力が抜けていく。でも、大丈夫だ。このぐらいなら、まだ余裕がある。
 苦痛に呻(うめ)く冒険者達の間に、その光が降り注いでいく。光がやんだ時には、皆、驚いたようにあたりをきょろきょろと見回していた。

「……レナータ!」

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