まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ネレアの声が響き、レナータはまじまじと自分の右腕を見る。
そう、右腕を見た。
 迷宮の中で魔物に食いちぎられたはずの腕が、何事もなかったように再生されている。

(……よし!)

「テティ、どうしてここに!」
「お前まで来ちゃ駄目だろっ!」

 少し離れたところで指揮をとっていたゼファルスとアクィラが駆けつけてくる。そんな二人に向かって、テティウスは首を横に振って見せた。

「にいさまたち。ぼくがやらないと……ぼくには、その力があるんだから――だれもいたいおもいをしないでほしいの」

 もちろん、テティウスの腕は、この世界すべてを、いや、この国の人すべてを抱え込めるほど長いわけではない。
 だが、今、ここにいる人達ぐらいなら、後遺症もなく癒やすことができる。

「テティ、結界を張ったわ。これで、魔物は外に出てくることはできない」
「ありがとう、ナビ子しゃん」
「どういたしまして」

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