まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ナビーシャとテティウスの様子を、兄達は驚きの目で見ていた。
 彼らの目には、テティウスの様子が大きく変化したように見えているのだろう。
 テティウス自身、なんとなく自覚している。「テティウス」よりも「優人」の面が強く出ている、そんな自覚だ。いつもとは、口調まで変わっている。あいかわらず、舌は回っていないけれど。

「ナビ子さん。なかに残っている冒険者はいるか?」
「いないわ。全員脱出したみたい」

 ゼファルスの言葉に、ナビーシャは首を横に振った。尾をゆらゆらと揺らしているが、緊張感を失ったわけではない。

「それなら、騎士達が揃い次第、中に入って――」
「まって」

 ゼファルスの言葉を途中で遮ったテティウスは、手を伸ばして兄の腕を掴んだ。

「ぼくが、いく」
「テティ!」
「ぼくとナビ子しゃんなら、どんなまものがきてもだいじょうぶ。いっきにかけぬけて、かくをはかいする」

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