まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスの発言は、兄には信じがたいもののようだった。
 それはそうだろう。いくら神獣と一緒とはいえ、五歳の子供が迷宮を駆け抜けようというのだ。あまりにも危険が大きすぎる。

「それは許さないぞ。兄上だって、許すはずがない」

 信じられないように目を見開いているゼファルスとは違い、アクィラは険しい顔になった。こちらに手を伸ばしてきたけれど、彼の手が届かないところに、テティウスはさっと飛びのく。

「ではどうするの? きしだんのきしをいかせて、ぼうけんしゃたちみたいにけがをさせるの? それとも、ぼくがけがをなおしたばかりのぼうけんしゃに、もういちどいけっていうの?」
「そ、それは……」
「だいじょうだよ、アクィラにいさま。ぼくは、かみさまのおかげで、このせかいにくることができたんだから。ナビ子しゃん……しんじゅうナビシャ・ビッタ・コエリーだっていっしょ」
「テティ、行くな!」
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