まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスがそう声をかける間にも、ナビーシャは走りだしていた。
 迷宮の奥の方から、唸るような声が聞こえてくる。

「……たしかに、まものがいっぱいいるね」
「アタシにまっかせなさい!」
「もちろん。頼りにしているよ、ナビーシャ!」

 ナビーシャの背中に乗り、魔物の攻撃が通らないよう周囲に鉄壁の防護壁を張って。
 襲いかかってくる魔物達を、その防護壁で跳ね飛ばしながら、テティウスとナビーシャは進み続ける。
 いつだったか、流星の追跡者達と一泊した場所もさっと走り抜けた。
 魔物達の唸る声も、もうテティウスの耳には届かない。ただ、ひたすら前を見て進み続ける。

「邪魔っ! おどきっ!」

 前に立ちふさがろうとする魔物は、ナビーシャの爪にひっかけられて飛ばされた。
 何物も、二人の前に立ちふさがることはできなかった。ナビーシャの強さを、改めて目の当たりにする。
 

「……これは」

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