まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスは目を閉じ、そして開いた。迷宮を制御しているこの玉の魔術式を書き換えたなら、もしかしたら。

「ナビ子しゃん、ぼく、これかきかえられるきがするの」
「ええ。普通の人には無理だけれど、あなたならできるかも」
「うん、いけるね」

 テティウスがさらにもう一歩近づくと、玉はいやいやと主張するみたいにまた揺れた。だが、そんなことに構う必要はない。
 玉に触れたとたん、流れ込んでくる魔術式。
 テティウスはそれを一つ一つ、丁寧に解いていく。迷宮の構造、内部の温度、湿度、水場、魔物を含めた動植物の生育状況……すべて、この核に記された魔術式で制御されている。

(……できた)

 テティウスの魔力は豊富だが、それでも書き換えとなると大量の魔力を使うらしい。
 完成した時には、玉はその輝きの色を変えていた。赤から青へ。そして、くるりと回ると再び台座の上で青い光を放ち始める。
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