まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 迷宮の核は、神の領域だ。書き換えられる人は、テティウスの他にはいないだろう。

「行きましょ」
「……うん」

 危ないことはしないと言ったのに、帰ったら叱られそうな気もする。ナビーシャの背中にテティウスが乗り込むと、彼女は迷宮の入口目指して戻り始めた。
 結界を解いて、外に出る。

「――テティウス!」
「とうさま!」
「まったく、お前というやつは……お前というやつは……!」

 怒られるかと思っていたら違った。
 父は、テティウスを捕まえたかと思ったらぎゅっと抱きしめる。背骨が折れてしまうのではないかと思ってしまうほどの力強さだった。

「危ないことは、するなとあれほど言ったのに!」
「ごめんなしゃい……」

 抱きしめてくれる手が震えているのに気が付いたら、それ以上何も言えなくなってしまった。
 父が、子供達をどれだけ愛しているのかよくわかっているからなおさら。

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