まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
エピローグ
テティウスが迷宮に潜ってから数日が過ぎた。
 戻ってきた時には、家族を泣かせてしまったけれど、数日たった今では、皆落ち着きを取り戻したようだ。

(戻ってきた時は大変だったよな……)

 と、大きくなったナビーシャを枕にしながらテティウスは考える。
 母はテティウスを抱きしめて離さなかったし、姉二人はその日の夜、寝室まで押しかけてきた。三人並んで寝るだけのスペースは十分あったけれど、三人で並んで寝るのは狭かった。

 テティウスの膝の上で、前足を舐めてはせっせと顔を洗っているナビーシャは、まるで、ただの猫みたいだ。

(そういえば、あの猫、どうなったんだろうな……)

 ナビーシャを見ていると思い出すのは、前世での最期のこと。優人がすくいあげた子猫は、あれからどうなったのだろう。
 できる限り自分の身体で抱え込むようにはしたつもりであるけれど、あの状況では、あの子も助からなかったかも。

< 343 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop