まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「助かったわよ?」
「え?」

 テティウスの心の中を読んだみたいにナビーシャが言うから、びっくりしてしまった。

「アンタが拾った子猫。助かった」
「そっか、げんきにしてる? いいかいぬしにあえたかな?」
「最高の飼い主に出会って、元気に暮らしているから安心なさい」
「そっかぁ、ならいいや」
「あの日、寒くて震えていたところを助けてくれた人にも感謝してるって」

 ああ、と不意に気づく。
 彼女は、あの日「優人」が抱き上げた子猫。

「なんだ、いいかいぬしってぼくのことじゃないか」
「何か言った?」
「ううん、なんでもない」

 ナビーシャは言った。「いい飼い主に出会って、幸せに暮らしている」と。
 いい飼い主というのがテティウスのことならば。幸せだというナビーシャの言葉が本心からのものならば。
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