まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 テティウスは手を打ち合わせた。イヴェリアとは、呪いを解除して以来会っていない。元気になった彼女との再会が楽しみだ。

「早く、クッキー頂戴な。アタシも暇じゃないんだから」
「ナビ子さんはせっかちね」

 母がナビーシャの方に皿を押しやると、ナビーシャは尾を左右に振って、皿に顔を入れた。やっぱりナビ子さんと呼ばれるのは気に入らないらしい。

「テティはここ!」
「違う、ここに座って!」

 姉二人はテティウスをどこに座らせるかもめ始め、間にテティウスを座らせてご満悦である。
 兄二人は、双子の正面に座り、その様子をニコニコとして眺めていた。
『いい兄妹じゃないの』

 肩に乗ったナビーシャがささやく。

(うん、僕もそう思ってる)

 新しい世界に生まれて、まるっとおまけな人生。
< 346 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop