まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 頭の中で、今までの人生がスローモーションのように繰り返される。
 これが走馬燈というやつか。
 物心ついた頃から、妙に運が悪かった。
 家族で蜂に襲われた時も、刺されたのは優人だけ。
 家族で旅行中、食べ物にあたったのも優人だけ。
 小学校の運動会、トップで走ってきたクラス対抗リレー。バトンを受け取った優人が走りだした瞬間、靴紐が切れたのは優人のせいじゃないと思いたい。
 宝くじに当たったことは一度もないし、占いに行けば「あなたの未来は見えません」と却下されたことは数知らず。
 二年に一度は交通事故に遭っていたし、さらにそのうち三回は一か月以上の入院を余儀なくされた。友人の間で当たり屋疑惑が出るほどだ。
 家族の運がよかっただけに、優人の運の悪さは群を抜いていたわけだけれど――。

(こんな死に方をするほど、悪いことしたっけ?)

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