まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 九十歳なのに、二十代に見えるのか。昨日のナビーシャもそういえば、見た目より年を取っていると言っていた。
 もしかしたら、テティウスの未来の姿なのかもしれない――なんて、話が飛びすぎてしまったか。

「さて、こちらに手を置いていただけますかな?」
「これでいーい?」
「はい、よろしいですよ」

 テティウスと魔術師の塔の長が話し合っているのを、家族はじっと見つめていた。彼らの視線で、背中がむずむずする。

「……ふむ。たしかに、殿下の魔力は非常に多いですな。今の段階で、陛下と同じぐらいの量はあるでしょう」
「そんなにか? そうなると、いつまでも成長しないということになってしまうのか?」

 父ががたりと立ち上がった。

「えー」

 いくらなんでも、この大きさのまま数十年生きるとかはテティウスとしてもお断りしたいところなのであるが。

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