まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「いえ、人の身体は意外と順応するものです。殿下が、十になる頃には落ち着くと思います」
「じゅっさいかー」

 いつまでも大人にならないのではないかと少しドキドキしてしまったが、十歳になる頃には落ち着くのならばまあいいか。

「それと、殿下は特殊な目をお持ちのようです」
「とくちゅなめ?」
「はい、非常に珍しく、記録に残っているのも一度だけです――神髄の目と記録されておりました」

 魔術師の塔では、過去の記録なども保存している。その記録を魔術師総出で確認してくれたらしい。昨日の今日で確認してくれたというのだから、どれだけ大変だったことか。
 魔術師の塔に保管されている膨大な記録を確認したところ、二百年ほど前にテティウスと同じ能力を持つ者がいたそうだ。

「殿下の才能は稀有(けう)なものです。ですが、同時に危険なものであるということも覚えておいてください」
「きけん? あぶない?」
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