まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ

　頭を打ち付けた痛みの次に優人が思ったのは、そんな言葉だった。そして、それきり優人の意識は閉ざされた。

　閉ざされた――はずだった。

「申し訳ございませんでしたー！」

　はっとして起き上がった時には、絵にかいたような綺麗な土下座が目の前にあった。黒い髪の女性が、優人の前で平伏している。
　それはもう綺麗な土下座であるのだが、なぜ、彼女が土下座を披露しているのかがわからない。

「……あの」
「申し遅れました、ワタクシ神様と申します」

　いや、ぱっと顔を上げた瞬間、ここで名刺を差し出されても。
　マナー教室のお手本にしたいぐらいの綺麗な動作で差し出された名刺を思わず両手で受け取る。これでも社会人三年目。名刺交換は何度もやったことがある。

「ご丁寧にどうも――」

　と、名刺を差し出そうとして、周囲が優人の知っているものとはまるで違うことに気が付いた。
　いやここどこだ。