まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 たしかにテティウスの才能は、他ではなかなか見られない。シルヴァリウス家の者としても、けた外れの魔力量とか魔力の才能とか。

「テティウスはいろいろあって、神様に特別に愛されているの。寵愛されていると言ってもいいかもしれないわね」
「……寵愛」

 ゼファルスが、小さくつぶやく。
 そして、彼はテティウスを引き寄せた。一番のお兄ちゃんとして、弟を守らねばという使命感にかられたらしい。

(いや、特別に愛されてるわけじゃ)

 と、心の中で突っ込んだ。
 テティウスがこちらの世界に転生したのは特別に愛されているからじゃなくて、神様の設定ミスのお詫びである。
『おだまり! 設定ミスなんて言ったら、他の人が気にしちゃうでしょうが!』

(――聞こえてた!)

 ナビーシャの声が、頭の中に直接響く。
< 59 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop