まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 というか――神様?

 神様、という言葉が、ようやく頭の中でぱちりとはまる。
 目の前にいるのは、黒髪の美女。いや、美少女か。
 十代後半と思われる彼女は、長いストレートの黒髪を揺らし、へらりと申し訳なさそうな笑みを浮かべている。
 神様って日本人顔なんだ、と不意に思った。そして、名刺を持っているんだ。
 ちらりと視線を落とせば「創世の女神アスタナ」とだけ書かれている。

「カタカナ名前かーい!」

 顔立ちも日本人のものだし、てっきりもうちょっと和風な名前が出てくるものだと思っていた。

「いえいえいえ、ワタクシあなたのお好みの女性の容姿をとっているだけですので」

 頭の中を読まれている!

 というか、うん、たしかに好みのタイプだ。
 普通に会社員として働いている優人であるが、ここ数年恋愛には縁がない。最初で最後の彼女は、大学入学から卒業までお付き合いした人だけ。
< 6 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop