まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ちょっと思っただけなのに、突っ込んでくるのはいかがなものか。神様の設定ミスをテティウスが恨んでいるなんてことは一切ないのに。

「それで、アタシがここに来たってわけ。アタシはただの翼猫じゃない。神様からテティウスを守り導く役目を与えられた存在と思ってちょうだい」
「それは、神獣と解釈してかまわないのかしら?」

 母が口にしたのは、神話に登場する獣のことである。
 神より、魔物から人々を守るよう命じられた獣――白いオオカミだったとも、巨大な獅子だったとも伝えられている――は、特に神に愛された人間と行動を共にし、人々の生活を豊かにするのに力を貸してくれたそうだ。
 あの神様に頼まれてテティウスの面倒を見に来たというのなら、たしかに神獣と言えるのかもしれない。

「いいわよ? アタシも神様からいろいろな力を授かっているのは事実ですからね」
「……なるほど」

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