まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 机に置かれていた紙を一枚、自分の方へと引き寄せるナビーシャ。そして、そこにぺたりと前足を置いた。
 とたん、紙の上に図面のようなものが姿を見せる。全部ではなく、ヒントになる部分だけ。ユスティナは、迷うことなくそれをひったくった。

「む、これならなんとかなるかしら。ああでも、氷の大きさはどのぐらいがいいのかしら。ねえ、ヘス、どのぐらいの大きさの魔石――あ、そうか。今はいないのだったわ」

 ぶつぶつと言い始めた彼女は、もうテティウス達のことは見ていない。
 そっとその場を離れるしかなかった。

「ナビ子しゃん、おさんぽにいこう」
「そうね。アンタはもうちょっと身体を動かさないとね」

 とてとてと歩いていく幼児の後ろに、ゆらゆらと長い尾を揺らしながらついていく黒い翼猫。王宮の皆も、もうこの光景を見慣れている。

「しっかし、アンタのそのしゃべり方おかしいわよねー。どうにかならないの?」
< 69 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop