まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 収納魔術に収納されている間は、中身が変質することはない。熟練の者は生き物を入れることもできるというが、初心者には無理だそうだ。
 使ううちに成長していくと聞いてテティウスは目を輝かせた。

(いいな、それ。覚えたい!)

『じゃあ、教えてあげる。というか、アンタはもう覚えてるけどね。アタシは、それを思い出させるお手伝いをするだけ』

 テティウスを花壇の縁に座らせたナビーシャは、膝の上に飛び乗ってきた。背伸びをして、額に前足を当ててくる。

「わわわわっ」

 とたん、頭の中を何かが走り抜けた。思わず声をあげてしまう。
『ほら、思い出せたでしょ?』

「おー」

 ナビーシャは心の声で話しかけてきたけれど、テティウスはまじまじと自分の両手を見つめていた。きょろきょろと見回し、落ちていた木の実を拾い上げる。

(収納!)

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