まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「優人さんが、いい人でよかったー! 普通なら『俺の人生返せ』とか言われちゃうところだったわ! まあ、ご自分のご家族が幸せならそれでいいって……うん、あのぐらい特典をつけちゃっても問題ないわよねっ!」
「……みぃ」
「……みぃ? って、えええええ?」

 足元にうずくまっているのは、雨に濡れた黒猫であった。
 頭の中で、優人の事故現場を思い返す。

「――優人さんについてきちゃった!?」
「みぃみぃ」

 てしてしと、アスタナの足を叩いて黒猫は懸命に訴える。ぶるるっと身体を震わせると、冷たい水が飛び散った。

「うーん、わからなくはないけど! あなたの言いたいこともわからなくはないけど!」

 ここに来るのは、優人だけだったはずが一緒に事故に遭った黒猫まで一緒に来てしまったらしい。まだ死ぬ予定じゃなかったと、懸命に訴えかけられる。

「あーあーあー、どうしようどうしよう!」

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