まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 この黒猫、まだ寿命が残っていた。優人に拾われなくても、翌朝には無事に歩道橋から降りて、猫好きの人に保護されるはずだった。優人の不幸に巻き込まれたのは黒猫の方である。

「やらかした、やらかした、やらかしたわぁぁ! お父様に叱られる、どうしましょう……!」

 アスタナの父は、いくつもの世界を創世している神である。アスタナの創造主でもあった。
 優人の運の悪さにしても、アスタナのやらかしである。
 実のところ、優人ほどのやらかしはめったにないけれど、ちょこちょことしたやらかしは今までにいくつもあって、次にやったらお仕置きだと宣告されていた。
 優人の件については、ミスが大きすぎると叱られたのである。これで、まだ寿命が残っている子猫をここに連れてきてしまったことが知られたなら。

「どうしよう……」

 つんつん、とまた足を叩かれる。アスタナは黒猫を見下ろした。

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