まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
第三章 幼児、やらかす
王宮の庭は丹念に手入れされていて、テティウスの小さな足でも歩きやすい。体力をつけるのも大事なことだから、頑張って毎日歩くようにしている。
 ナビーシャと二人で歩きたい気分だったので、護衛の騎士達には少し離れてもらった。ここは王宮内なので、少しぐらい離れても問題はない。

「おはな、きれーね」
「アタシの方が綺麗だもん」
「ナビ子しゃんもきれい」

 それは、お世辞ではなかった。すらりとした肢体に、艶々とした毛並み。ナビーシャの気分次第でピンと伸ばされたり丸まったりする尾に、黒い翼。
 つり上がった金色の目も、彼女らしいとテティウスは思う。
 誉められたナビーシャはますます尾をピンと立てた。本人は隠しているつもりのようだが、実はけっこうわかりやすい。鼻歌交じりにテティウスは歩く。

「ふんふんふーん。あ、にわしのおじさん」
「おや、殿下。どうなさいました?」
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